【ブラジル】アニメ好きブラジル人のカラオケアテンドから学ぶ、ブラジルアニメ・オタクビジネスの今。

この記事を書いた人:


新年早々ですが、カラオケに行ってまいりました。

今回は、ブラジル・クイアバで農業視察をしてた際に出会ったJuliaさんが初来日ということで、アテンドしてきました。クイアバというと、ブラジル・マットグロッソ州の首都で、平均最高気温が年中30度を超える、皆さんのイメージ通りのブラジル、と言った場所です。サッカーワールドカップで日本戦の舞台にもなった場所ですので、何となく聞いたことが有る方も多いかもしれません。

 

スクリーンショット 2016-01-05 16.01.45

 

南米大陸の真ん中当たりに位置するので、「牧牛」や「農業」で有名なエリアであり、基本的には田舎な雰囲気のクイアバ。私が訪問したのはブラジルでは冬の期間だったので、サンパウロは約8度くらいだったと思います。そこから数時間。北に飛んだらクイアバは40度近い気温。

牛を見て、大豆の生産をみて、サトウキビの生産を見て、その後のとある表彰式でJuliaさんとは出会いました。

(出所:Google map)

 

提携先のマツダ・グループからのご紹介でJuliaさんと出会ったわけですが、出会った最初から様々な違和感と戦ったのをよく覚えておきます。なにせ、コンセプトカラーがブルー。頭もブルー。帽子もブルー。バッグもブルー。Blue!!!Blue!!!数日間大草原や牧草しか見えていなかった時に、急に目の前がブルーになってしまったんで、当時は目がチカチカしました。

ちなみに皆さん、年代がバラバラに見えますが、全員20代前半です。28歳の僕は最年長。そう、頼られる最年長。そんな場でした。

wp-1451927407014.jpg

でも、カラオケに行く前に焼き肉。

ちなみにすぐカラオケに行くとおもいきや、まずは焼き肉を食べたいということで新橋のふたごへ。”Typical(典型的な)”日本の焼き肉が食べたい!と言われたので、もうちょっと選択肢あるかなと思ったのですが、なにせ業務終了後なので時間が時間(23時前)。サラリーマンの味方、夜までやってるフタゴへ。ちなみに、Juliaのコンセプトカラーに合わせて僕も青。

今回のブラジルの皆さんは、霜降り大丈夫でしたね。でも、生卵はやはりダメでした。

wp-1451965185818.jpg

で、カラオケ。でもその前に。ブラジルのアニメ文化の復習。

ブラジルで日本アニメが有名だ!という話を聞いたことが有る方は多いと思います。私自身もコンサルタントなので、それについての調査も行いましたし、いくつかの会社様のブラジル進出にかかるサポートも経験しております。ただ、サポートした当時は2013年ですし、対象年齢が変わると、だいぶマーケットの捉え方も変わってくるな、というのが気付き。いつまでも同じという思い込みではは無理ですね。

ブラジルでの日本のアニメ放送

ブラジルで、日本のアニメブームの火付け役は、やはり「ドラゴンボール」!と思いきや、そうではありません。聖闘士星矢さんなんです。以前ブラジル人の方とカラオケに行って驚いたのですが、結構な人が最初に歌うのが聖闘士星矢なんですね(N=10くらいの話をしています)。そこからドラゴンボールZやセーラームーンが放送され、ポケモンにつながり・・・と、そういう流れで放送されていました。時代が逆行するだけに、結構画質が悪くなったり、今風になったりしそうで違和感なかったのかな?と気になるところですが、流れとしてはそのような感じです。ちなみに下記の資料は、2013年に社内用として展開した勉強用資料ですので、作りやアニメの画像をそのまま貼り付けていたりと、いくつか問題がありそうなので、まずいようならば削除、という事になります。そして、ここでのポイントは、2008年以降に放送されたアニメについてはあまり追えていないこと。

ちなみに、一体カラオケに行ったら、みんなどんな歌を歌うんだと、日本の22歳と日本の28歳がカラオケに行っても多少世代間格差があるのに、他国の22歳とカラオケに行ったら、全く歌が合わないんじゃないかと。そんな不安を抱えながらも、こうした資料を使い、コンサルタントらしく、勉強をしてから事に臨んだ次第でございます。

スライド27

 

まずは形から。被る。

そうですね。被り物があったらかぶりますね。凄く嬉しそうでした。ポムポムプリンについてそんなによく知らなかったのか、「何これ?名前は?」となっていましたが、無事最終的には、ミッキーやミニー、グーフィー等の競合を押しのけて、ポムポムプリンが選ばれました。というか、最後には「これのグッズ売ってないの?」と聞かれたので、多分インバウンド消費に繋がったんだと思います。凄い、さすがサンリオ。

wp-1451965166090.jpg

カラオケで黙る。ITの力で日本の文化の伝達は想像以上に早かった。

僕はですね、大学時代は音楽サークルなるものに入っておりました。あと、こういう仕事をしておりますので、なるべく海外で有名と言われるようなアニメは見るようにしております。日々、勉強、勉強なんです。で、どうだったかと。ええ、ダメでした。普通に日本の有名な(と認識している)アニメをみるだけではもはや彼らにはついていけません。

【1】「チャラ〜ヘッチャラ〜」じゃ全然ヘッチャラじゃない

僕は、取り敢えずドラゴンボール、それが無理なら頑張ってセーラームーンで盛り上げないとと。結構偉い方々のご子息ですのでそれはもう必死でした。でも、ドラゴンボール入れようとしたらですね、されてしまったんですよ。「え、古っ」みたいな。

確かに。ブラジルでも先ほどの資料によると1996年に放送されていますね。彼らは20代前半。ブラジルでは再放送という文化はあるのだろうか。日本みたいに、ドラゴンボールのマンガが完全版として再度登場したんだろうか。そう、場所が違う。だからマーケットが違う。もしかすると、ブラジルにおいてドラゴンボールは1996年に放送されてそのまま終わってしまったのかもしれない。レンタルビデオ店はブラジルには有るのだろうか。あっても流行っているの?どうしよう。

そして僕は曲を入れず、デンモク(カラオケで曲を入れる装置)をテーブルに戻しました。汗

wp-1451965149770.jpg

【2】ナルト、るろうに剣心、幽遊白書、カードキャプターさくらは、あり。セーラームーンはR。

驚きました。セーラームーンっていうのは、いくつもバージョンが有るんですね。中二くらいまで、もう少し見ておくべきでした。水泳ばかりやっている場合ではありませんでした。そういえば、今をときめく(多分)プリキュアも沢山バージョンがあるんですよね。そうですね。るろうに剣心も、『1/3の純情な感情』と『そばかす』だけじゃ全然ダメです。もっと全ての主題歌を把握するくらいじゃないと太刀打ちできません。

 

【3】ラブライブ、既に有名。

μ’sって何?これ、すごい疑問でした。これで、「ミューズ」と読むそうです。ラブライブに関連する何か。それは今後勉強して解き明かしていきますが、おそらく主人公が所属するアイドルユニットの名前でしょうか。『友情ノーチェンジ』という曲だそうです。僕は秋葉原に住んでいるんで、通りがかりに名前だけはよく聞くんですが、ダメですね。勉強しないと。みんなもう、自分は「ラブライバーだ」ってきちんと言うんです。しかも、数人が言っているわけではなくて、ネットコミュニティを見たところ、既に3万人のブラジル人がラブライバーになっているそうです。もう日本の文化、全然背負えてないです。

wp-1451980990462.jpg

【4】海外のアニメ・ストリーミングサイトにより、アニメの浸透速度が急速に波及

アニメの(違法)ストリーミングサイトが横行していることはよく耳にしますが、新興国におけるそれらの存在の大きさ、そしてそれによるアニメの浸透速度の加速は目に余るものがありますね。聞いた話によると、例えば今日、日本で放送されたアニメは、だいたい2日くらいでポルトガル語字幕が完成、その後1日くらいでアップロードされるそう。それは動画にかぎらず、週刊のマンガも。(サイト名等はもちろん把握していますが、ここでは割愛します。)今までは日本で放送されて、それから版権を買って放送するという流れだったものの、その流れが絶たれてしまっているのもこうした技術によるものだったんですね(もちろん全てではないです)。

では、そういう中で彼らは何に困っているのか。熱狂的な海外のオタク達は何に困るかというとグッズを買うことが出来ないということらしいです。やっぱり欲しいんですね、グッズ。確かに、情報・データと異なり、生産や輸出が伴うものはどんなにハードルが下がっても、一気に進出が実現することはありえない。

確かにブラジルではジャンクショップのようなものが多く存在していて、日系人が個人単位で輸出していたり、アニメ好きのブラジル人が個人単位で持ち込みを行ったりして経営されている店舗が多い。普通に輸入すると、いかなるグッズでも3倍強の値段になってしまうため、日本のメーカーもなかなか進出しづらい状況にあります。だからこそ、違法ということをわかっていても、そこでしか手に入らないから買ってしまうという循環が起こっているんですね。

 

スライド29

【5】カラオケで日本の曲を歌うためのアプリケーションやサイトが有る

ちなみに、みんな本当に流暢な日本語で上手に歌っていました。別に日本語が話せるからというわけではありません。何故彼らが歌えるかというと、日本の歌をアルファベットで表記する専門のサイトが存在していて、それをスマートフォンで閲覧しながら歌うという方法を取れるからです。2007年頃、スマホが文化になる前であれば、到底出来ない荒業。テクノロジーの進化も日本文化の波及に良い影響を及ぼしているんですね。逆にこういう使い方をするので、カラオケで充電が切れてしまった方は途中から歌えなくなってしまって、スマホをシェアして歌詞を見ていました。

wp-1451982230954.jpg

アニメ文化を海外に!等と軽く語ってはいけない。

さて、まとめです。

海外進出の話をすると、日本の文化を海外に!なんていうことを良くいいますが、アニメ・オタク等は、特に軽く語れる代物ではないなと常々思っております。この仕事をしていて、お茶とか着物とか焼肉とか、アニメとか散々耳にしてきましたが、全てにおいて、本当にそこに根を貼ってやっていかないと到底太刀打ちできません。

その中でもアニメは、上述したように変化のペースが速い。今や、日本で一回流行したものが現地で流行るかも本当に調べ切らないと分からない。お茶等は一度根付くと定着する等の事例もあるのですが、アニメはプロダクトライフサイクルも速い。そして、DVD・ブルーレイ等は海外では勝手に複製されて100円くらいで売られてしまうケースもあるので、日本とは全然市場が違います。特に、物販までするようなコア層は、アニメ自体はストリーミング消費がメインというデータも有ります。そして、アニメでは今回も、我々日本人が余り知らなくて、現地でのみ流行している日本のコア・アニメなども沢山出てきました(※秘密)。

こうした草の根の活動も、きちんとやっていかないとすぐに乗り遅れてしまうなと、反省と刺激をもらったアテンドでした。

この記事を共有する
Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on LinkedInEmail this to someonePrint this page