【インドネシア】従業員雇用、育成の難しさに関して

この記事を書いた人:


どうも、Trufundsの平野です。前回に引き続き、インドネシアにて感じたことを書き綴ります。

 

今回のテーマ

・インドネシアの雇用者保護(最低賃金の上昇)
・大規模なデモ
・ジョブホッパーの台頭

から、従業員雇用、育成の難しさを伝えられればと思います。

 

インドネシアの雇用者保護(最低賃金の上昇)

インドネシアの労働法は、労働者の地位・権利の保護に重きが置かれている。解雇手続きが非常に複雑で困難な上に、解雇に際しては多額の退職金および補償金を支払わなければならない。等というように事前に調べていたこともあり、現地の雇用主の方に直接様々な話を聞くことができました。

 

事実、現地の方の解雇・退職手続きは複雑かつ困難でその点は、非常に苦しいものがあるとのことでしたが、それ以上に一番難しい問題は”賃金”です。

私自身がジャカルタに行った時点での、最低賃金は270万ルピア(約2,7万円)でした。
雇用主の方に、1年で2~3割の最低賃金上昇がある・・との話を聞いた数日後、現地の新聞にて310万ルピアへの上昇が確定しました。
このように、本当に1年で1.5割も、賃金が上昇し、これがずっと続いているようです。

 

通常、企業では雇用し、継続的に働いてもらい成果を上げてもらえると、給与もアップしていくものです。また、管理者等のスキル・経験が高い人材は、高い給与で雇用するものです。

 

ただ、とある日系企業では、賃金上昇が毎年行われるため、優秀な人材を確保するにも最低賃金で確保。数年働いてくれても給与はほんの微増。というスタンスで雇用を行っているようです。
というのは、最低賃金が上がり続けるため、ただでさえ人件費率が高まり現場運営が厳しくなるのに、最低賃金以外の部分で給与を増加させると、更に現地での企業運営が困難になるからとのことです。

 

最低賃金を設定しながら、新規雇用し、長年働いてもらい、育成していくことは非常に難しいのですが、利益率を考慮するとそうせざるを得ないので、本当に頭を悩ませる大きな課題です。だからこそ、企業は、最低賃金でも長年働いているもらえる、企業・職場・仲間の魅力を高め、現場浸透させながら、責任や役割を与えながら、現地での組織力向上を必死に絞っていくしかないのです。

 

大規模なデモ

事前に、2015/10/28から大規模なデモがあるという話を聞いていました。デモと言ったら、町中で数十人がプラカードを立てて行進するイメージを持っていたのですが、とある日にタクシーに乗っている途中に遭遇しました。

 

IMG_9224

あまりに、雰囲気の怖さというか、暗い雰囲気に驚きました。
ちなみに、上記の写真は中流階級の方が火曜とあるショッピングモールの入り口です。

 

本当に、入り口が閉鎖されていてその日は買い物もできません。そして、かなり多くの人数がいるために、通常以上の大渋滞で、タクシーで通常15分のところが1時間かかったほどです。

一部の日系企業はデモの日でも、現場は稼働しているようですが、デモ行進が近づいてきたり通達があった場合は、即業務を停止しないと、会社・向上に危害を加えられるリスクがあるとのことで、少なくとも現地の方は当日は、勤務を止めてデモに参加しているようです。

 

日本ではここまで本格的なデモを見たことがないので、非常に驚きました。現地の方は、もう慣れっこだとのことを言っていましたが・・

このように、デモが行われる日は、タクシー移動、通常の業務、あらゆることが本当にストップしてしまうので、その点もインドネシアの一つの特徴として理解しておくことは重要だと思います。

 

ジョブホッパーの増加

最後に、インドネシアの最低賃金は310万ルピアになったものの依然として、先進国にとっては安い金額だと思います。
2003 年の労働・移住省の調査結果では、大学卒の人材は労働力人口の 3%弱に留まっていると言われており、高スキルな人材の確保は難しいと言われています。

 

その状況下故に、大学卒業者、英語が話せる方は希少価値が高く、外資企業からすると安い賃金で優秀な人材を現地で確保できるということで、転職が非常に増えてきているようです。
ブルーカラーでも、少しでも経験者等を確保するために、賃金を少し上昇させて転職するという流れで増えてきているようです。

 

私自身が10年ほど前に、上海で働いていた際に、競合他社から複数人のプログラマーを、一気に引き抜かれたことを思い出しました。そもそもの低賃金を理由に、企業としては多少の賃金アップを利用した引き抜きは業態や企業によっては苦しくないので、この流れもあり、現地では継続・安定雇用の難しさもだんだん目立ってきているようです。

実際に私自身の現地の知り合いも、この1年で2回転職に成功し、年収を2倍にできたそうです。

 

転職者本人にとっては、給与を上げるチャンスとも言えますが、雇用主にとっては長期的な育成や体制構築が難しくなり、また場合によってはサービス品質も下がるため(熟練者が少なくなる)、飛行に苦しいものになると言えます。

 

このように、インドネシアは、世界各国から魅力度が高く、進出も増えてきていますが、人口が多いから、賃金が安いから、市場が大きくなっているからという理由のみで進出を考えると、長い目で見て、現地での運営(収支コントロールや、人材手配・育成)が難しくなるので、しっかりと計画を持った上での進出・運営が大事だと思います。

この記事を共有する
Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on LinkedInEmail this to someonePrint this page